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2020年02月29日

賃貸経営、節税封じ 税制改正や富裕層の監視強化

「賃貸アパート経営」「マンション投資」といった名で富裕層の間で用いられてきた節税策が封じられる見通しだ。政府は税制改正や監視強化により相続税や所得税などを厳しく課す。
不正融資や不適切工事の舞台となってきた賃貸住宅建設は課税面からも抑え込まれ、地価の下押し圧力になるとの見方もでている。

賃貸経営は自己資金や借入金によってアパートやマンションを建てて家賃収入を得る。定期収入が入って老後は安心、などという文句で不動産会社や金融機関が、富裕層を勧誘。賃貸住宅の建設需要を掘り起こしてきた。

賃貸経営は節税余地が大きいことにうまみがあった。やり方次第で家賃収入にかかる所得税を減らし、将来の相続税も抑えられる。富裕層の気を引こうと関連業界ではさまざまな節税策が編み出されてきた。


■消費税還付を阻止

典型が「消費税の還付スキーム」。アパート施工業者に払った建設費用の中からそこに含まれる消費税10%分を取り戻す離れ業だ。建設費が8000万円なら最大800万円が戻る。

からくりは消費税特有の仕組みにある。消費税は事業者が売上高の10%を国に納めるが、通常は仕入れの段階で費用の中に消費税分が含まれている。二重課税を避けるため「仕入れ税額控除」といって、その分を納税額から差し引ける。

ただし賃貸経営で主な売上高となる家賃はもともと消費税がかからない。売上高自体が非課税なら控除も不可なのが消費税の原則。家賃収入だけだと本来、控除を受けられない。そこで考え出されたのが「作為的に消費税の課税対象となる売上高を立てる手法だった」と消費税に詳しい藤曲武美税理士は指摘する。

常とう手段が「金地金」の取引だ。消費税の対象である金を売り買いして売上高を作る。すると仕入れ税額控除が認められ、払った建設費用の中から消費税分が還付される。

賃貸と金取引は無関係に思えるし税の専門家ですら理解に苦しむが、この裏技は広く用いられてきた。かつては「自動販売機」も使われた。今は禁じ手だが、自販機を設置して売上高を作り税還付を引き出した。

消費税還付スキームを封じるため政府は2020年度の税制改正の中で消費税法を見直す。賃貸住宅建物の取得については仕入れ税額控除の適用を認めないという中身だ。

(日本経済新聞Webより引用)

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