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2016年03月09日

〝貯蓄〟しますか 〝投資〟しますか どうする個人の資産形成 人口減少時代への対応は エリアと商品特性に留意

日銀がマイナス金利を導入するなど未曾有の低金利時代を迎え、個人の資産形成手段が貯蓄から投資へ大きく動き始めた。中でも不動産投資は安定した利回りを得られる商品として人気を集めている。ただ人口減少や少子高齢化など不安材料も多い。どう考えて行動すべきか、専門家に聞いた。

不動産投資で気になるのが、人口減少だ。15年国勢調査(速報)によると、10年からの5年間で人口が増えたのは首都圏の1都3県以外は愛知、滋賀、福岡、沖縄の4県だけである。

日本財託マーケティング部の小林和徳氏は3月3日発信の投資情報マガジンで、「将来にわたって安定した家賃収入を得るためには、人口が増えているエリアに投資するのが鉄則」と述べる。

そして、「より望ましいのは生産年齢人口(15~64歳)が増えている地域だ」とも指摘する。生産年齢人口が増えている都市は経済が活性化していくことを意味しているから、賃貸需要も安定するというわけだ。ちなみに、福岡市は5年間で人口が7万5000人も増えているが、生産年齢人口は既に11年から減少が始まっているという。


■鍵握る〝流動性〟

投資対象エリアの選別に加え、投資商品自体の特性にも注意が必要だ。中でも個人が投資商品を選ぶときに気になるのが〝換金性〟である。自分や家族の病気、ケガなどで急にまとまったお金が必要になる可能性もあるからだ。余裕資金で投資している富裕層とは異なり、普通の個人投資家にとっては外せない要件となる。

インテリックスは昨春、不動産特定共同事業法(不特法)に基づく小口化商品「アセットシェアリング」の販売を始めた。同社の俊成誠司ソリューション事業部長は「今は長期保有を前提にした商品としているが、今後個人投資家を増やしていくためには、投資家の持ち分の流動性を担保することが大きな課題になる」と話す。

同社では現在、投資家が持ち分の売却を希望したときには、まず同じ投資商品を購入している投資家(組合員)を中心に買い手を探し、見つからなかった場合に最終的には同社が買い取る契約にしている。ただ、自社での買い取りには限界もありそうだ。


■事業者間連携か

不特法に基づく小口化商品自体は従来からあったが、投資家を一般の個人に想定した商品が増えてきたのは最近のことであるため、流通市場が形成されているとは言い難い。「他の事業者と連携するようなかたちで市場を形成できると、より一般の個人が投資しやすくなると思う」(俊成氏)。

サタスインテグレイトの佐藤一雄社長も「まずは、数社の(不特法)事業者間だけでも商品コード(基準)をつくり、売り希望の投資家の持ち分を売買するのも面白いのではないか」と提案する。しかし、今は各社の商品設計は様々。その中で、情報開示項目をどうするのか、取り扱い手数料はどうするかなど課題は多い。「それに、一定基準を設けると新しい商品が出にくくなる可能性がある」(佐藤氏)とも指摘する。

更には「小口化商品に流動性を持たせるべきとは一概には言えない」という意見もある。というのも、私募リートや私募ファンドが投資家から評価されている理由の一つには、価格変動性(ボラティリティ)の低さがあるからだ。

限られた投資家しか参加していないので、株式市場とは異なり価格の上下が少ない。

また、投資単位をどこまで小さくするかによっても、市場への参加者数が変わり、流動性に影響を与える。適度な流動性を持たせるサジ加減は難しいがチャレンジする価値はありそうだ。

個人が不動産投資商品を選択する際のもう一つのポイントは、〝実物投資〟的感覚をどこまで味わえるか、ではないだろうか。従来からある伝統的なワンルームマンション投資は自分で物件を選び、マンション会社から購入した後も自ら管理・運営を行うことができる。そこにこそ、不動産投資の醍醐味があるという見方もある。

しかし、アイビー総研の関大介代表は言う。「自主管理をするには、サラリーマンが片手間にというわけにはいかない」。そのため、多くの個人投資家は、管理・運営は専門家に任せた商品を選択する。その代表がJリートや不特法商品だ。

関氏は「それでも、修繕や入退去に伴う出費がどの程度になるかなど、不動産投資の基本的知識は身につけておくべき」とアドバイスする。それが、人口減少時代における不動産投資のリスクを最小限に抑えるための素養になるからである。

(住宅新報Webより引用)

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