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2013年12月09日

10年後に笑うマンション購入 高く売る視点で選ぶ

首都圏中心にマンション販売が堅調だ。増税前の駆け込み需要終了後も住宅ローン減税が拡充されることが背景にあるようだ。購入者の中には暮らしの変化など、住み替えが必要となる世帯も出てくる。
住み替えを念頭に置く場合、マンション購入時に売却まで見据えた視点も必要だ。

東京都に住む40歳代の男性会社員Aさんはこの春、2LDKの新築マンションを購入した。
現在は妻と子どもの3人家族だが、将来は子どもが増える可能性もある。
手狭になったとき中古で売却するといくらになるのか。値下がりが小さいだろうとの期待もあり、都心の物件に決めた。

Aさんが重視したのはいかに高く売れるかという出口戦略。将来の中古価格を予測することは難しいが、参考になる指標はある。そのひとつが新築時からの価格維持率を示す「リセールバリュー」だ(図A)。不動産調査会社、東京カンテイ(東京・品川)によると、築10年の首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)のマンションのリセールバリューは90.4%。値下がり率は約1割だった。


■築年数にこだわり

不動産市況が低迷していた2002~03年当時に新築だった物件が対象ということもあるが、都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)だと101.7%で逆に値上がりしているという結果になった。市場調査部の中山登志朗上席主任研究員は「物件を買う前に10年後にいくらで売れるかイメージすることが重要だ」と説く。

10年後が一つの節目になるのは、(1)ライフスタイルが変化しやすい(2)修繕積立金の増額前にあたる(3)住宅ローン減税による税額控除が10年で切れる――などの事情がある。
ただ「中古マンションの買い手は築10年以内のものを望んでいる人がほとんど」(野村不動産アーバンネットの神園徹執行役員)という点は無視できない。同社の7月の調査では中古住宅購入を検討する人のうち、67%が築年数にこだわり、このうち60%が10年以内を条件とした。

前出のリセールバリューからもわかるように値上がりが期待できるマンションは都心の一部に限られる。リクルートの不動産・住宅サイト「SUUMO」の池本洋一編集長は「居住用マンションの場合、賃貸で住んだ場合に支払う想定賃料と比べ中古での値下がり額が小さければ理想的」と指摘する。
不動産調査会社、アトラクターズ・ラボ(東京・千代田)の沖有人代表取締役は想定賃料から中古騰落額(新築価格―中古価格)を引いた分を「マンション収益」と定義する(図B)。


■中古市況つかむ

収益を確定するには実際にマンションを売却する必要がある。この際は中古マンション市況に対する相場観を持つことも必要だ。東日本不動産流通機構(東京・千代田)によると、首都圏の中古マンションの10月の成約価格は前年同月比3.8%上昇し2604万円。今年に入り10カ月連続で前年実績を上回る。

野村不動産アーバンネットの調査によると10月時点の首都圏エリアは3か月前比0.1%の上昇で、底入れ感が強まっている(図C)。
三井不動産リアルティの黒川伸吾リハウス営業本部事業企画部長は「アベノミクスによる景況感の改善でマンション市場が活況となり、中古の成約率も上昇している」と話す。

2020年の東京五輪開催決定や東日本大震災の復興需要で資材や人件費などの建築コストは上昇している。来春以降は駆け込み需要の反動減に備えて新築マンションの供給が絞られるとの見方もある。目先は「新築マンションの値上がりに引っ張られる形で、中古市況は下がりにくくなるのではないか」(池本氏)との指摘が多い。沖氏は不動産市場への資金供給量とマンション価格の相関性に注目し「五輪開催までの今後7年間は中古市況は上昇も期待できる局面」と話す。

売却を検討しはじめたら、周辺物件がいくらで売れているかの情報収集も重要。国土交通省の「土地総合情報システム」はインターネットで誰でも検索できる。物件の特定はできないが、地域ごとの成約情報を調べることができ、100万円単位で成約価格がわかる。民間の不動産情報サイトや新聞の折り込み広告の売り出し希望価格も参考になるが、実際の成約価格は5%程度安くなるという。

居住用のマンションは自分の売りたいタイミングで売れるとは限らない。中古売却価格がローン残高を下回ると、住宅ローンを返しきれず買い替えの資金調達に影響することもある。


■売却益にかかる税率、所有期間で違い

マンションを売却した金額が購入費用を上回って売却益が発生した場合、所得税、住民税といった税金を払う必要がある。税率は物件の所有期間で異なる。所有期間が5年以内だと40%、5年を超えると20%、10年を超えると14%が目安となる。

居住用のマンションの売却だと3000万円の特別控除などの優遇措置を受けることもできるので留意したい。

(日本経済新聞Webより引用)



A.マンションのリセールバリュー
A.マンションのリセールバリュー

B.居住用マンションで収益を得るイメージ/C.中古マンションの価格変動率
B.居住用マンションで収益を得るイメージ/C.中古マンションの価格変動率

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