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2013年12月14日
■「個人増税・法人減税」によって、法人化の動きが加速
不動産投資やアパート経営によって家賃収入を得ている場合、他の所得と合わせて課税所得が2,000万円程度を超えたら「資産管理会社」の設立を検討することが望ましいと、以前から言われていました。その理由は、主に節税対策です。
ちなみに「資産管理会社」というのは、入居者募集や集金管理を行う賃貸管理会社とは違います。
資産の運用や保有を目的に設立する会社のことです。賃貸住宅経営を主な事業にしているオーナーが法人化する場合は、このどちらかに含まれるでしょう。そこで、この記事内では「法人化」という言葉を用いて説明していきましょう。
法人化が節税対策につながるのは、個人と法人に適用される税率が異なるためです。
まず、個人に対する所得税は、所得金額が大きくなるほど税率が高くなる「超過累進税率」が適用されます。また、現在では、給与所得控除や社会保険料控除等を差し引いた課税所得が1,800万円を超えると、超過部分に最高税率の40%が適用されます。個人住民税の10%を合わせると50%です。これに事業税を加えると、課税所得の半分以上が税金で消えてしまうのです。
さらに、今年度の税制改正で、2015年の所得から課税所得4,000万円を超えると、超過部分の税率が45%になるという増税が決まりました。住民税や事業税を合計すると6割近くが税金になります。
その一方で、法人税は減税の方向に傾いています。2012年から基本税率が30%から25.5%に引き下げられました。それでも国際的に高いと批判されていること、また、政府の成長戦略の一つにも盛り込まれており、更にもう一段の減税も検討されています。このように「個人は増税、法人は減税」という動きが進んでいることから、従来にも増して、法人化の動きが急増しているのです。
■「ひとり一法人時代」の到来!所得1,000万円以下から法人化を検討
この「個人は増税、法人は減税」という動きによって、法人化を検討すべき損益分岐点が下がってきました。冒頭で触れたように、以前は課税所得2,000万円前後が境目でしたが、今では課税所得1,000万円を下回るほどになっています。
実効税率というのは、所得税や法人税、住民税、事業税などをすべて含めた実際に支払う税金の負担割合のこと。この実効税率が低いほうが節税になります。
所得が600万円以下の場合は法人よりも個人の実効税率のほうが低くなっています。しかし、700万円を超えると逆転。それ以降は法人のほうが支払う税金が少なくて済むことがわかるでしょう。
実際には法人化に伴うコストなどもありますから、所得が概ね900万~1,000万円以上になったら、法人化を検討したほうが賢明といえるでしょう。
ここでいう所得とは、不動産所得に給与所得などの他の所得を含めた合計金額です。たとえば、700万~800万円の給与がある会社員が1棟マンションに投資をして不動産所得を得れば、すぐに合計所得は1,000万円前後にはなるでしょう。
つまり、特別な高額所得者ではなく、ごく一般的な会社員でも、最初から法人化を視野にいれて不動産投資を考えてもおかしくはありません。こうしたことから「ひとり一法人時代」とも言われているほどです。
■法人化には多様なメリットがある
賃貸住宅経営を個人で行う場合と法人化した場合の違いは、単に税率の違いだけではありません。
法人化には他にもさまざまなメリットがあります。主なポイントを整理しておきましょう。
1. 所得の分散効果
前ページの「実効税率の違い」の説明で、個人の所得税は超過累進税率であると述べましたが、これを活用することによって法人化のメリットがさらに大きくなります。つまり、法人の所得をオーナーひとりで得るのではなく、配偶者や子などの親族を法人の役員にして、報酬を支払う形にすることによって、所得分散効果が得られるのです。
たとえば、1,000万円の課税所得に対する個人所得税の税率は33%です。これを妻と子に500万円ずつわけるにより、一人当たりの税率は20%に下がります。その結果、支払う税金の総額は大幅に低くなります。
2.利益と損金の相殺
個人の場合、事業用不動産を売却して譲渡損が出た場合に、給与所得や株の譲渡益など種類の異なる所得から差し引くこと(損益通算)はできません。不動産の譲渡所得同士でしか損益通算できないのです(マイホームの場合は一定条件で他の所得と損益通算できる特例があります)。
これに対して法人の場合は、不動産でも株式でも譲渡損や譲渡益が出た場合に、他の事業の利益や損金と相殺できます。法人の損益計算書に固定資産売却損として計上して、法人の事業の利益と通算してもいいのです。全体として利益を圧縮して、節税につなげることが可能になります。
3.欠損金(譲渡損)の繰越
個人の場合は、不動産の譲渡損が出た場合に、他の不動産の譲渡益から控除し切れずに損が残ったとしても、翌年以降に繰り越すことはできません(マイホームの場合は、一定の条件で3年間の繰越控除が可能な特例があります)。
一方、法人の場合、青色申告した年に生じた不動産譲渡損は9年間に渡って、欠損金として利益から繰越控除をすることができます(2001年から2008年までに発生した譲渡損は7年間)。
4.任意償却
建物の減価償却費は必要経費として不動産収入から差し引くことができます。個人の場合、耐用期間に渡って毎年定期的に計上する必要がありますが、法人の場合は、法定の償却限度額までの範囲で任意に償却することができます。つまり、利益が出ている時は減価償却を計上して、利益が出ていないときは償却しないことによって、利益幅を調整することができるのです。
5.相続対策・事業承継
個人で相続が発生した場合、所有している不動産の評価額に対して相続税がかかります。また、相続人が複数いるのに不動産が1つしかないと分割で揉めるおそれがあります。
しかし、法人の所有している不動産に対しては相続税がかかりません。法人の株主であるオーナーが所有していた非上場株式に対して相続税がかかりますが、不動産の相続と違って移転登記の必要がなく、株式の相続によってスムーズに遺産分割をすることもできます。
また、オーナー(被相続人)が生存中は、子どもたちや妻へ、役員報酬あるいは給与の形で、早くから資産を移転できるというメリットがあります。将来の相続税の納税資金に充てることもできるでしょう。
6.金融機関からの借入
法人に対する融資は、過去3年間の決算書など経営実態に対する審査がありますから、個人よりも融資が下りにくい傾向が以前はありました。また、融資が下りるとしても、金融機関による格付けがあるため、個人よりも金利が高くなることが多かったのです。
しかし最近では、不動産投資を目的とした資産管理会社(賃貸事業だけを目的とした)を利用した場合、こうした制約が以前よりも緩くなっています。金融機関にもよりますが、個人と法人(賃貸事業だけを目的とした)で大きな差がなくなってきました。以前のような融資に関するデメリットが薄れているといえます。
ここまで、法人化のメリットを解説してきまたが、法人化は良い面ばかりとは限りません。元の個人としてのオーナーから法人に不動産を売却する際の諸費用、法人設立の経費、経営段階での経理事務や税理士報酬など、さまざまなコストもかかります。全体の収入とコストのバランスを十分に吟味した上で実行することが大切です。
(All Aboutマネーより引用)