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2014年02月07日

景気回復で今がマンションの「売り時」か? 住居用と投資用の売却タイミングを考える

■不動産価格上昇の波及効果と中古マンション

2012年12月の安倍政権の発足以降、日経平均株価の上昇に伴い、都心の一等地を中心に中古マンション価格が上昇傾向にあります。

不動産市況を見つめる中で大切なのは、市場の流れや動きを事前に察知することです。

例えば不動産市場の動きとしては株価や企業収益が上昇するとスペースコストにかける余裕も生まれ、より広いオフィス、よりクオリティーの高いオフィスに需要が高まることになります。需要が高まれば、そのビルの1坪当たりの賃料も上昇傾向となります。

賃料が上昇すれば、収益還元法という視点から見るとビルの資産価値は上昇し、ビルの資産価値が上昇すればその土地の価値自体も上昇します。その土地の地価が上昇すれば、周辺の地価やビルの価格や賃料などにも影響を与えることになります。特に東京のように、もともと地価が高い場所では敏感に反応する傾向があります。
そして、住宅部門では最も早く敏感に反応するのは、スバリ、「中古マンション」です。
しかも、都心の「一等地」「駅近」「大規模」「タワーマンション」などが先陣を切って上昇する傾向にあります。その後、周辺のマンションに波及し、都区部全域に価格上昇傾向が広がっていきます。ただし、その波及効果は郊外に行くほど影響が下がる傾向にあります。都心から離れた立地であっても「吉祥寺」「大宮」「武蔵小杉」「川崎」「横浜」などの首都圏主要スポットエリアの大規模マンションは都心並みに上昇する傾向にあります。

中古マンション価格が上昇する過程で、新築マンションの価格上昇はそれよりも若干遅くなる傾向にあります。なぜならば、新築マンションは土地を取得してから、設計、施工、完成・引き渡しまでにタイムラグがあるからです。ですから、先に中古マンション価格上昇し、後から新築マンション価格が上昇することが多いのです。


■中古マンションは供給減、売れ行きは好調

いま中古マンション市場で起きていることは、二つあります。

一つは中古マンションの新規登録件数が大幅に減少傾向にあるということです。なぜならば、価格が上昇傾向にあるので、一言でいうと、「売り惜しみ現象」が起きているということも考えられます。
東日本不動産流通機構の調べによると、2013年10月の首都圏の中古マンション新規登録は1万4984戸と前年比2.7%の減少となりました。登録件数は対前年比で減少が続き、11カ月連続の前年比減少となっています。

二つ目は中古マンションの成約件数が上昇傾向にあるということです。首都圏の中古マンション成約件数は14カ月連続で前年比増加となっています。1都3県そろって前年同月を上回っており、東京都は前年比増加率が2ケタ台で推移しています。
供給が減り、成約件数が増えているということは、契約率が大幅に上昇していることを意味することになります。
価格面でいうと、やはり東京23区は築5年以内の中古価格は新築とほとんど変わらない状況にあります。一方、郊外に行けば行くほど、その差は広がる傾向にあります。

現在は中古・新築マンションの価格がそれほど変わらない場合でも、新築マンションは今後価格が上昇している可能性が高いと思われます。


■投資用マンション売却のタイミングは?

投資用のマンションを売却する場合は、居住用マンションとはまた考え方が変わってきます。
まず価格面ですが、居住用マンションは周辺の物件がいくらで取引されているのかという「取引事例法」がその中心的な考えとなりますが、投資用マンションはその物件の収益・利回りから物件価格を算出する「収益還元法」が中心として考えられています。また、その物件の損益分岐点価格も極めて重要な指標となります。

利回りとは物件価格に対する収益(賃料)の割合です。2000万円のマンションで、家賃が月7万円ならば年間の賃料は84万円となり、2000万円の物件価格に対して利回り4.2%(年)となります。この利回りから物件価格を算定します。現在8万円の収益(賃料)を得ている物件ならば、利回りを5%と設定すると、価格は8万円×12カ月÷0.05で1920万円となります。
このように収益物件では賃料や利回りなどに基づいて価格が決まることが多くなっています。もちろん周辺の取引事例や利回りなども参考とされます。


■投資用マンションでは損益分岐点を考える

投資用マンションを売却する際に、買った時より価格が下がってしまって売るのをためらっている方もいます。

しかし、収益不動産は「価格下落=損」とはなりません。次の例を見てみましょう。

Aさんは2000万円の現金で、ある会社の株を買いました。その株価が5年後に1500万円に下落し500万円の評価損が出ました。この場合、この評価損を配当でカバーするには、困難を極めます。

それに対して、Bさんは同じく現金2000万円で買ったマンションを5年後に1500万円で売却しました。ここでも500万円の売却損が発生しました。

ところが、このマンションは投資用として購入していたので、仮に投資利回りが6%と仮定すると、2000万円×0.06×5年=600万円の賃料収入があったことになります。
ランニングコスト(管理費・税金等)が5年間で100万円とすると、実質500万円の収益となります。
保有期間5年において売却損500万円、収益500万円となります。つまりプラスマイナスゼロとなる訳です。
このように投資用マンションの場合は、売却損が発生しても必ずしも損をしたことにはならないということです。
このことをしっかり理解すれば、売りのタイミングを逃すことも減るのではないかと考えます。

投資用マンションを売却する場合は、居住用マンションと違って、「住み替え」のケースはないと思います。ですからその物件のエリアの価格動向が今後上昇しているのでしたら、しばらく保有してから売却するのもよいかもしれません。キャッシュフローが黒字の場合はじっくりと売りのタイミングを見ることができます。
しかし、キャッシュフローが赤字の場合は、全体の収支で考えて売却のタイミングを計る必要があります。


■今後のマンション市場と売却のタイミング

過去を振り返ってみても、マンションの最高の売り時は90年、91年のバブル期でした。1985年頃に新宿5丁目周辺では20平方メートル1500万円であったワンルームマンションが、バブル時には6000万円、つまり4倍の価格で売れました。マンションを購入し、転売するだけで値上がり益が手に入る「マンション転がし」という言葉がはやった時代です。

その後はデフレの時代が長く続き、リーマンショック直前の2007年頃には価格が上昇しています。
ただ、いずれも上昇のピークはその時間が極めて短いということです。そういった意味でマンションを高く売る時期というのは極めて短いものです。
ただし、「アベノミクス」で景気や地価が上昇している現在は、いささか事情が異なるようです。

これから日本では2020年の東京オリンピック招致決定で、これから7年という、ほどよい時間をかけながら様々な整備が行われると予想されます。
特に東京は、キーワードとして交通インフラ、新線・再開発、国家戦略特区、都市再生緊急整備地域、リニア中央新幹線、羽田への新アクセス、法人減税による国際優良企業の誘致、さらにMICE(企業の学会・会議・展示会等のビジネストラベル)等で資産価値が拡大していくのではないでしょうか。

これからの東京の不動産市場はバブル期のように一気加勢で上昇するというのではなく、7年という時間をかけながら、巡航速度で資産が向上していくと考えられます。
ですので、世の中の状況に惑わされないで、自身のライフスタイル、経済状況をよく吟味しながら、売り買いを行って頂きたいと思います。

マンション売却については、購入すること以上に知識が必要となる場合があります。売却のタイミングによっては何百万円もの差が出る場合もあります。

売却・住み替え等をお考えの場合は、マンション購入もしくは売却の各種セミナーに参加したり、インターネットや本などでよく調べることをお勧めします。

(日経BP社Webより引用)


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