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2014年04月08日

区分マンション投資の出口戦略が変わる!?価値の低かった物件が狙い目に?

マンション建替え円滑化法改正による影響を大胆予測

今年2月、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」の改正案が閣議決定された。
しかし、認知度・関心度が高いとは言えない。本改正案に最もアツい視線を送っているのは、不動産投資よりも、株式投資をしている人たちかもしれない。

事実、法改正で業績が伸びるという読みから、マンション専業デベロッパーや、マンション建設を得意とするゼネコンの株価が上昇した時期があったのだ。

でも、不動産投資家も、もっと注目してもいいのではないか。なぜなら本改正案が成立・施行されると、区分マンション投資の常識が、ガラっと変化するかもしれないからだ。
区分マンション投資で思わぬ失敗を避けるために、思いがけないお宝物件を手に入れるために、より詳しく本改正案を検証し、法施行後の未来予測をしてみたい。


■法改正の最重要ポイントは「一括売却」の要件緩和

現行の法律では、マンションの建替えを行なおうとした場合、区分所有者等の5分の4以上の賛成で決議をし、権利変換を経なければならなかった。
建替えに合意した場合、権利変換があった後は、権利処分(売却)や、新しいマンションよりも換金して欲しいという意思があっても、マンション建替組合(施行者)にお伺いをたてなければならなかった。
また、マンションと敷地を一括して売却するのは、民法でいう処分行為にあたるので、区分所有者全員の合意が必要で、現実にはほぼ不可能なのだ。

本改正では、区分所有者等の5分の4以上の賛成で決議をすれば、マンションと敷地を一括して売却できるようになる。区分所有者は、持分に応じて売却金(「分配金」という)を手に入れることができる。お金の受け取りが先なのだ。
分配金を受け取る法的な意味は、マンション売却の成立だ。その後、建替えマンションを買い戻す場合は、新たに売買契約を締結することとなる。一括売却に同意し、決議で賛成票を投じたとしても、必ずしも買い戻さなくてよい。
ここが、建替え後のマンションに引き続き住むことを前提とした、現行法との大きな違いだ。

つまり本改正は、「建替え」促進というより、区分所有マンションの「清算」促進という意味合いが強いと言っていいだろう。


■改正法が適用されるのは、耐震性不足マンション

本改正によって「一括売却」要件が緩和されるのは、すべてのマンションではない。特定行政庁から耐震性不足の認定を受けたマンションだけだ。この認定を受けると、法的に「要除却認定マンション」と定義付けされる。

いわゆる「旧耐震」で、かつ耐震診断で危険と判断されたマンションが対象になる。
これらの物件は、新耐震物件に比べて安価に取引されているが、本改正で「一括売却」が可能になることで、出口の選択肢が増え、物件によっては化ける可能性が出てきた。

築年数の古い投資用マンションの所有者は、建替えという面倒で時間のかかる手続きよりも、一括売却に同意し、分配金を手に入れる方が現実的だろう。
では、誰が「要除却認定マンション」を買い受けてくれるのか。


■本改正を、マンション供給側から見ると…

誰もが買受人になれるわけではない。買い取る資金力があることはもちろん、マンションの解体・建替えができる能力を示す「買受計画」を作成し、都道府県知事から認定を受けられる者に限られる。デベロッパーを対象にしていると見てよい。

デベロッパーは、新築マンション事業を行なうために用地を仕入れる。しかし最近では、マンション適地が少なくなり、用地取得がたいへん困難になっている。
そこで、デベロッパーが狙いを定めるのが、「要除却認定マンション」になると予測する。

一括売却の合意形成には時間がかかるかもしれないが、それは建替え決議でも同じこと。
建替え、等価交換など、多数の実績があることを特徴とするデベロッパーもあるから、「要除却認定マンション」の買い受けは、第一にそれらの業者が手を挙げるだろう。

また、湾岸エリアのように、大規模な街づくりをしなければ集客できない立地より、すでに人が多く住んでいる立地のほうが、マンション分譲時のリスクが小さく、事業に取り組みやすい。そのような理由から、多くのデベロッパーが「要除却認定マンション」獲得に名乗りを上げるだろう。


■旧耐震マンションも、立地次第で投資対象になる!?

獲得競争が激しくなれば、売却価格が上昇し、区分所有者が受け取る分配金も増える。売却決議の時に、競争入札を行なう事例も出てくるだろう。
デベロッパーが高値で入札するポイントは、やはり立地だ。

住宅として人気のエリアであることはもちろんだが、建替えにより建設されるマンションには、一定の条件を満たせば、容積率制限を緩和する措置がとられるので、前面道路が広く、容積率が高く、日影規制や高さ制限が緩やかな立地が好まれる。

本改正案が成立・施行されると、区分マンションへの投資判断は、価格と利回りに加え、更地にしたときの価値を見極めることが必要になる。これは大きな変化だ。
耐震性不足で、これまで投資対象にならなかったマンションでも、立地次第で明るい出口が迎えられる可能性を秘めているかもしれない。
そのように区分マンションを見る時代が、もうすぐやってくる。

(楽待不動産投資新聞より引用)

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