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2014年06月17日
地元企業の派遣切りで4万円台だった家賃が1万円以下に下落し賃貸市場が大変なことになっている大分県杵築(きつき)市とそこに隣接する安岐町(あきまち)の現場を視察してきました。広大な敷地に2階建アパートが10棟140室。共用廊下にまわると電気メーターが取り外された空室がずらっと並んで一種異様な感じがします。
空室数を数えると、合計86室・・・空室率61%ということです。現オーナーがどの位の負担になっているか仮に計算してみます。
月額賃料1万円×140室×12か月=満室の場合の年間賃料収入(GPI)1,680万円。ここから、空室損(61%)相当額1,032万円を差し引くと残るのは(EGI)648万円。さらに、固定資産税、賃貸管理費、消防点検といった諸々の運営費が賃料比30%かかるとして、(Opex)504万円が引かれます。結局手元に残るのは、(NOI)144万円・・・。
でも、こういった広大な敷地に何棟も建っている物件の多くは、地主さん系の相続対策や土地活用の場合が多いですから、恐らく建築費を全額借入といったことになっていると思います。このあたりで木造のワンルームアパートを建てる場合、戸あたり@300万円あれば建てられるようですから300万円×140戸=4億2,000万円・・・。
年利1.2%(地主さん系であればいいローンが引けるはずです)、返済期間30年として毎月の返済額は139万円、年間で(ADS)1,668万円。先ほど計算したNOI 144万円からこれを差し引いた税引前キャッシュフロー(BTCF)はマイナス1,524万円・・・毎月130万円の持ち出しということです。
この状態から抜け出すにはいくつか選択肢があります。
一番は、空室を解消して賃料を当初の4万円台に回復することですが需要が喪失している地域では難しいでしょう。
(1)残債(10年経過)約3億円のうち、2億6,000万円を繰り上げ返済すると収支トントン⇒坪単価5万円の地域なので、他に持っている土地6500坪を売れば、譲渡所得税を払ってなんとか・・・
(2)すべて売り払って、事業終了するためには⇒一棟あたり、売り出し4~500万円、成約300万円といったところなので、10棟で3,000万円。残債3億円なので、2億7000万円の用立てが必要。・・・
いずれにしても、大変だと思います。杵築市の需給状態をデータで調べてみました。2008年(平成20年)から2012年(平成24年)の5年間でみると、人口は2151人減少、世帯数も76世帯減少。しかも、持ち家率76.5%(!)のエリアです。一方、貸家の着工数は404戸。
年別にみると2009年(平成21年)以降、16戸→32戸→0戸→1戸とほぼ供給がされていませんので、リーマンショック以前に大量供給があったということがわかります。
さらに調べると、2000年(平成12年)から2008年(平成20年)の8年間で2622戸。今回見た物件は、この中に含まれるというわけです。
5月8日に「2040年に896自治体で若年女性半減、消滅の可能性」という有識者会議の推計が発表されました。国交省のHPには2050年までに無居住化する地点が掲載されています。
もっとも米国の47%は無居住地で、カナダの人口の75%は米国国境から150Km圏内に居住していますから、なにも日本に限ったことではありませんが、いずれにしても不動産投資は人がいるところでやらないと大変な目に合うということは理解しておいた方が良いと思います。
(HOME'S不動産投資 不動産投資コラムより引用)
2050年までに無居住化する地点