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2014年09月04日

不動産市場のプロに聞く! 新築マンション価格はまだ上がる?

新築マンションの販売価格は需要と供給、地価、建築費などで決まるが、最近、業界におけるもっぱらの悩みが建築費の上昇だ。住宅設備や建築資材の値上がりに加えて、とりわけ深刻なのがコンクリート職人の労務費の高騰。東京五輪開催や東日本大震災復興などで需要が増している上に、人手不足のため高騰が続いている。その結果、建築費はリーマンショック直後の底値から2割近くも上昇しているという。


■リーマンショック直後から約2割上昇

「東京のマンション建築費は、既にリーマンショックが起きた2008年9月の高値を上回っています。最も落ち込んだ2010年1月ごろと比べると、今年5月で2割近く上昇しています。とりわけ直近1年間で指数は107から115へと急上昇しており、その勢いはとどまりそうにありません」と、都市未来総合研究所常務執行役員の平山重雄さんは言う。

建築費の推移を示したグラフが、建設物価調査会による「建築費指数(原価ベース)」(図1)だ。これは2005年の月別建築費指数の年間平均値を100として指数化したもので、青線が東京のマンション建築費、赤色が大阪のマンション建築費を示している。東京、大阪ともリーマンショックで大きく下げた後、2011年1月ごろから反転に転した。2012年1月ごろ以降は急ピッチで上昇。東京ではリーマンショック前の水準を上回っているのだ。

「マンションの建築費が高騰している理由は大きく2つあります。1つは型枠工職人など鉄筋コンクリート工事に必要な職人が不足して、労務費が高騰していること。団塊世代の大量引退や不況時の離職や廃業など人手不足は深刻で、外国人技能者の受け入れなどを行わない限り、早々に解決できない。なので、労務費高騰は今後も続くと思います。
もう一つの要因は円安やデフレ脱却を目指す金融政策などによる建設資材や住宅設備の値上がり。こちらは前者と比べると、景気や為替相場の波に左右されるので、一本調子で上がり続けることはないでしょう」(平山さん)


■深刻な金融危機や景気後退が起きれば別だが、当面、値下がり要因はない

ちなみに建築費の高騰が全て販売価格に転嫁されるわけではない。他の費用の圧縮などで販売価格上昇を抑えようと努力しているデベロッパーは多いが、これ程の高騰では厳しい。

マンション建築費は今後も上がるのか?
「その判断はプロでも難しいですが、東京五輪によるコンクリート造建築物の需要増を考慮すると、リーマンショック並みの金融危機や深刻な景気後退などが起きれば別だが、現時点では上昇要因はあれども下落要因は見つけにくい」(平山さん)
消費税増税や地価上昇なども含めると、新築マンションの購入環境は厳しいと言えるが、建築費の短期下落が見込みにくいとしたら、早めに買ったほうがいいのだろうか。

「富裕層や資金に余裕がある人は、人気が高い東京の都心部や湾岸エリアで物件が出たら、今後供給が減る可能性が高いことも含めて、今のうちに買ってしまってもいいと思います」(平山さん)
東京都心の物件は高くても買い手がつく。富裕層や海外投資家など買い手の層が厚いからだ。実際、増税後も落ち込みは少なく、「マンション業界において初月契約率が7割を超えれば販売好調とされる中、関東圏の初月契約率は75%キープしている」(平山さん)


■戸建や中古マンションも選択肢の一つと考えてみる

購入の判断を悩むのは、長期でローンを組んで購入する一般的な層。今は超低金利と住宅ローン減税の拡充などで取得環境は非常に良いから余計に判断に悩む。最近は木造の建築費も値上がりしてきたと言われるが、それでもコンクリート造よりはマシ。新築マンションだけでなく、木造の新築一戸建てや築年が浅い中古マンションなど購入の選択肢の幅を広げて検討したい。

建築費高騰だが、低金利と住宅ローン減税で取得環境は良好。木造一戸建て、築浅中古マンションなど選択肢を広げよう。

(suumoジャーナルより引用)

マンション建設工事費の推移
マンション建設工事費の推移

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