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2014年09月25日

21世紀の築古アパート事情

築20年を超えるようなアパート・マンションは一般的に築古物件と言われ、賃貸経営が難しいと言われています。
ここではこうした築古物件の賃貸経営が今後より難しくなっていくという予測を年代別の着工件数の分析から見ていきます。


■現在の築古物件=バブル時代の新築物件

この図は新築着工件数の推移です。
緑色が賃貸物件の新築着工件数です。
これを見るとバブル真っ盛りの昭和62年(1987年)に88.7万戸という驚異的な件数を記録し、その後はバブル崩壊とともに新築着工件数が減っています。
この図には載っていませんが平成25年(2013年)の新築着工件数は37万戸と、バブル時代の約40%にまで減少しています。
中古物件の売り物をよく見ている人は気付いていると思いますが、売り出される物件は築20年超えのものが圧倒的に多い状況です。
これは、築20年を超えると費用が増えるため売り抜けようとするオーナーの意図の他に、そもそも物件数が多いためだと言えます。


■経年とともに物件の価値は落ちていく

築20年より築5年、築5年より新築の方が物件の価値が高く、入居者に選ばれやすい(空室率が少ない)ということは当然です。
そもそも物件は完成時点から劣化が始まっているため経年とともに物件の価値は落ちていきます。
ですから、修繕等で価値を高める活動をしなければ築年数が古ければ古いほど価値が低くなっていきます。


■物件は価値の高いものから順に空室が埋まっていく

物件は同じ価格帯のものであれば価値の高いものから順に空室が埋まっていきます。入居者によって価値を感じる物件というのはそれぞれ違いますが、その人にとって最も価値の高いと感じた物件で契約をします。
これも当然で、同じ値段なのにわざわざ2番目の物件に住もうとする人はいません。
このため当初新築だった物件も、年が経つにつれて新築物件と競争できるだけの価値がなくなり、1ランク下の価格帯まで家賃が下がります。
こうして年がたつごとに徐々に家賃が下がり、下の価格帯で競争をすることになります。

ある一定の家賃以下では価格で空室は埋まらない

しかし、ある一定の家賃まで下がるとその後は家賃を下げても空室が埋まらなくなります。
よく激安の家賃設定となっている物件がありますが、こうした物件は激安の家賃設定でも常に入居者募集にかけられています。
人は得られる価値が支払う価格よりも高いと感じたときに物を購入します。
しかし、激安の家賃設定となっている物件は家賃が低くても空室は埋まりません。
つまり、そうした管理がほぼされていない物件にはほとんど価値を感じる入居者がいないということが言えるでしょう。
国の所得水準などにもよりますが、少なくとも現在の日本ではこうしたことが言えそうです。

ある一定の家賃以下の物件はその中で価値の高いものから順に選ばれる

こうして考えると、ある程度価値のある物件は経年により価値が落ちてきたら下の価格帯に移ることで競争ができます。
しかし、一番下の価格帯では経年により価値が落ちてもそれより下のランクがありません。必然的にその中で競争をしなければいけません。
すると、同じ価格帯では価値の高いものから順に選ばれるため、古い物件ほど空室が増えてくるということになります。

2040年には空室率が40%に

空室率が増えるということは入居者が減るということなので、どの価格帯の物件でも入居者が減って、下の価格帯に移らなければならず収入が減るということはあるでしょう。
しかしもともと一番下の価格帯の物件は、価格帯を下げても効果がありません。
このため、一番下の価格帯の物件の空室率が劇的に増加する事態になると予想されます。


■空室率増加による被害は築古物件ほど大きい

もっとも現在築20年の物件は30年後には築50年ですからそれまでに取り壊すなり建て替えるなりされているでしょうが、空室率増加による被害は築古物件ほど大きいということは変わりありません。
ただし、これは経年によって価値が下がるのを放置していたとしたらという仮定付きです。
もし価値の低下を抑える効果的な施策を打っていれば、経年にまかせて手入れしていない物件より高い価格帯での競争に参加することができるため、空室率増加による被害を小さくすることができます。
これから先、空室率が増加していくことは確実です。
ですから、空室率が増加することを前提に今のうちから対策を打っておくことが非常に重要だと言えます。

(楽待不動産投資新聞より引用)

住宅着工統計
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