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2014年11月10日

三井不の4~9月期決算に見るアベノミクス効果

10月31日の日銀の「電撃緩和」と共に久々に注目を浴びた感のある「アベノミクス効果」というキーワード。三井不動産が6日に発表した2014年4~9月期連結決算は、そのアベノミクス効果がくっきり現れた決算になった。

まず純利益の水準。前年同期比18%増の470億円と、この期として過去最高となった。けん引したのが高水準の物件売却だ。「日銀緩和もあって不動産投資家が積極的に動いている」(佐藤雅敏常務執行役員)といい、主力のオフィス賃貸が新規稼働ビルの減価償却費増の影響で利益が伸び悩む一方、不動産市況の回復を受けオフィスや商業施設などの物件売却が加速した。

そして高級マンションの分譲。4~9月期の個人向け分譲の1戸当たり単価は5509万円と前年同期から21%上昇した。特に最多価格帯が1億円超の高級マンション「パークコート千代田富士見ザ タワー」の引き渡しが効いた。アベノミクス相場による資産効果を享受した富裕層の旺盛な需要で425戸を完売した。

さらに運営するアウトレットモールやショッピングセンターなど商業施設による売り上げの伸びも目立つ。消費増税後の失速が懸念されたが、改装など地道な取り組みを積み重ねて克服した。佐藤常務執行役員は「消費増税の反動減を乗り越え、いい状態になっている」という。オフィス・商業施設の賃貸収入は、オフィスが1387億円と前年同期から2%減った一方で、商業施設は823億円と7%増えた。貸し付け面積では再開発による稼働終了などでオフィスが5%減っているが、商業施設も微減の状態にもかかわらずだ。「商業施設の貢献が大きい」(佐藤常務執行役員)。

床面積があまり増えない中、どう収入を増やしたのか。そのカギを握るのがショッピングセンターの改装だ。ららぽーと横浜、ラゾーナ川崎などで昨年までに相次いでリニューアル工事を実施。テナントの入れ替えなどにも取り組み、新しいオープン効果を出した。ある関係者は「消費の刺激の意味もある。何もやらないと収入が伸びなかったかもしれない」と指摘する。

商業施設というと、三井不が得意とする時間をかけた再開発事例として2月に完成した「コレド室町2」「同3」ばかりに目が行きがちだが、その陰で既存ビルの手直しを積み重ねて増税後の逆風下で収入増を確保した、地道な努力も見逃せない。

株価は日銀緩和のたびに派手に反応する。10月31日と翌営業日となった11月4日の2日間だけで399円(12%)も上昇した。ドイツ証券の大谷洋司シニアアナリストは「オフィス、住宅、商業施設と分散がきいており、さらに消費増税下でも商業施設が好調な点が強みになっている」と指摘する。ビルやマンションの売却益が存在感を示す決算だが、停滞感が強まる消費環境で結果を出す商業施設こそ、三井不の持続的な成長につながる要素かもしれない。

(日本経済新聞Webより引用)

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