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2015年03月25日

実需がカギ握る地価の行方

国土交通省が発表した公示地価は、商業地で7年ぶりに下落が止まり、住宅地も下落幅が縮まった。安倍政権が掲げる脱デフレを後押しする要因になる。

地価回復の裾野は着実に広がっている。三大都市圏だけでなく、地方都市でも地価が上がる地点が増えている。なかでも仙台や福岡などの上昇率は三大都市圏を大きく上回っている。

長期化する低金利を背景に不動産市場に投資マネーが流れ込んでいるのが背景だ。企業や不動産投資信託(REIT)などに加えて、円安で海外からの資金流入も増えている。こうした資金は地方都市にも向かっている。

実需も堅調だ。オフィスを拡張する企業が相次ぎ、東京や名古屋など主要都市でビルの空室率が低下している。東京の都心部では賃料も上昇してきた。土地の収益力が高まっているのだから地価が上がるのは自然な姿だろう。

最近の地価動向は都市部でも地方でも総じて二極化している。東京の23区は上昇率が拡大したが、多摩地域の住宅地では縮小した。消費税の増税や建築コストの上昇で住宅価格が上がり、郊外では住宅販売が伸び悩んでいる。

地方でも上昇に転じたのはインフラ整備や再開発が進む地域が中心だ。北陸新幹線の開業で上昇率が全国トップになった金沢駅周辺が典型例である。一方で地方全体では7割の地点で下落している。

今後もしっかりとした実需の支えが要る。法人実効税率の引き下げなどを通じて企業の投資意欲を高めることが大事だ。ビジネス拠点としての大都市の魅力向上も欠かせない。人口減という構造的な問題を抱える地方では観光需要を取り込めるか否かがカギになる。

適度な地価上昇は経済にとって望ましいが、東京や名古屋などでは上昇率が10%台になっている地点も目立つ。リーマン・ショック前のミニバブル期を振り返ってもわかるように、地価は上昇への期待感から大きくふれやすいだけに、今後注意すべきだ。

(日本経済新聞Webより引用)

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