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2014年03月05日
多くの不動産関係者が取引の行方を注目している大型案件がある。東京・目黒の目黒雅叙園だ。売却価格は1000億円以上ともいわれるが、「欲しがっている投資家は多い」と国内不動産ファンドの幹部は話す。
大型の結婚式場とともに敷地内に19階建てのオフィスビルもあり、アマゾンジャパンなどが入居する。売り手は米投資会社、ローンスター。順調にいけば春にも買い手が決まる見通しだ。国内外の4~5の投資家連合が意欲を示しているという。
■「軍艦ビル」1200億円
雅叙園は「塩漬け物件」としてつとに知られた存在だった。2002年に運営母体の企業が経営破綻。銀行から債権を買い取り実質的に所有してきたローンスターは当初、高値での転売をもくろんだが、リーマン・ショックで目算が狂った。
そんな「いわくつき」の物件を見る投資家の目が変わりつつある。デフレ脱却の期待が強まるなか、07年前後の不動産ミニバブル期に「高値づかみ」と話題になった物件が、当時と大差ない価格で相次ぎ売れ始めた。
JR浜松町駅に近いオフィスビル、芝パークビル(東京・港)。横長の巨大な姿から「軍艦ビル」とも呼ばれる同物件を昨年、香港のアジア・パシフィック・ランド、アブダビ投資評議会など4社が約1200億円で購入した。ソニー(証券コード6758)の東京・大崎のビルを抜き、13年最大の不動産取引だ。
国内外でだぶついたマネーが日本の不動産に向かい始めた。米不動産サービス、ジョーンズラングラサールによれば、13年の商業不動産取引額は前年から倍増し4兆円。「14年も2~3割伸び、5兆円になる」(赤城威志リサーチ事業部長)
マーケットが注目するのが2014年の公示地価だ。3月に国土交通省が発表するが、三大都市圏で6年ぶりに上昇する公算が大きい。公示地価は土地取引の指標となり、上昇に転じればデフレ脱却に大きく前進する。
■次の主役は地方
今後は都市部の上昇がいかに郊外や地方に波及するか、さらに持続的な上昇につながるかが焦点になる。裾野の広がりを感じさせる動きもある。
神奈川県の厚木市と愛川町にまたがる地域で、物流施設の開発が相次いでいる。シンガポール系の不動産開発会社やヤマトホールディングス(9064)に続き、これから三井不動産(8801)の施設も完成する。厚木市、愛川町の工業地価は昨年、1%強上昇した。ネット販売の普及で物流需要は一段と高まる。
「地方主要都市にも投資機会を広げていく」。ブラックロック日本法人の不動産部門で物件取得の責任者をつとめる南亮一氏はこう話す。東京で競争が厳しくなるなか、投資家の関心は地方にも向き始めている。
老人ホームや太陽光発電所、外国人観光客を当て込んだホテル……。地方でも経済構造変化で土地活用が多様化、資産価値の向上につながりつつある。
お金の出し手も広がってきた。今や日本の商業不動産取引額の半分は上場不動産投資信託(REIT)だ。外国ファンドの投機的な資金が中心だった07年とはこの面でも違う。
土地に建物部分など加えた日本の不動産市場は約2400兆円と、約600兆円の株式時価総額を上回る。「地価上昇は幅広く消費マインドを刺激し、経済波及効果は大きい」と大和総研の橋本政彦エコノミストはいう。
円安→株高でデフレ脱却への道筋をつけたアベノミクス。地価上昇の流れをより太くするには、成長戦略の深化が欠かせない。土地利用の規制緩和に加え、外国企業を呼び込むため法人税率の引き下げも選択肢だ。
デフレ脱却のカギを握る不動産。その最前線を追った。
(日本経済新聞Webより引用)