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2014年04月12日
都心に集中していた不動産投資マネーが地方に向かっている。不動産投資信託(REIT)が取得した不動産を2013年度末でみると、東京、大阪、名古屋の「三大都市圏」以外の地方物件の比率が3分の1を超え、過去最高水準となった。インターネット通販拡大を背景に地方の物流施設への投資が拡大。地価上昇で都心の物件に割高感が出たのも一因だ。有力な不動産の買い手であるREITマネーの流入が地方経済を下支えしそうだ。
SMBC日興証券の調査をもとに推計した。REITの保有不動産は合計で約11兆5千億円(3月末)。このうち東京23区、大阪、名古屋の「三大都市圏」を除いた地方物件は約4兆円と34%を占め、金融危機以降で最高となった。前年度比の伸び率でも三大都市圏の12%増に対し、地方は28%増と大きく上回った。
REITは投資家から集めた資金を元手に不動産に投資する。みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所によると、13年度に上場企業などが発表した不動産取引額の4割強を占め、国内では最有力の買い手の一つだ。
REITの地方シフトが進むのは大きくわけて2つの理由がある。
一つがネット通販の普及だ。翌日配達などのニーズを満たすため、物流やネット通販会社が地方で物流施設の整備を急いでおり、REITが購入して貸し出す例が増えている。シンガポール系のGLP投資法人は三重県の物件を取得。三井物産系の日本ロジスティクスファンド投資法人も3月に埼玉県と福岡県の2物件を計60億円超で購入した。
地価の上昇期待を背景に競争力の高い都心の優良不動産が先行して買われた結果、「買い値がつり上がり、採算に合わなくなった」(みずほ証券の並木幹郎氏)ことも大きい。割安な地方物件を買う動きが強まり、オフィスビルを中心に投資するジャパンエクセレント投資法人は2月に仙台市内のビルを取得した。
14年度に入っても地方シフトは続く。オリックス不動産投資法人は今月に三重県と北海道の商業施設を購入した。野村証券の荒木智浩氏は「地方への資金流入は当面続く」と指摘する。
REITマネー流入は地域経済の活性化にも一役買う。日本ロジは千葉県八千代市でも物流施設を再開発中。運用会社の三井物産ロジスティクス・パートナーズの川島高之社長は「大型の物流施設が開設すればのべ数千人規模の雇用が生まれる」と話す。
一方、地方の地価回復は都心部に比べてなお遅れている。国土交通省が3月に発表した14年の公示地価によると、三大都市圏は6年ぶりのプラスに転じたが、地方では上昇した地点の割合が全体の約14%にとどまる。優良物件に集中している不動産売買の裾野が広がるかが今後の焦点だ。
(日本経済新聞Webより引用)