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2014年09月03日

最新リポート 不動産投資 ワンルーム用地、取得難に 人気の都心商業地で競争激化

ワンルームマンションが建設されるのは、大半が都市部の駅周辺の商業地域である。その土地取得合戦が過熱してきている。背景にあるのは、デフレからインフレに向かう中で土地の売却件数が減っていること。地価上昇の期待感から、土地所有者のいわゆる売り惜しみ現象が発生しているのだ。更に、不動産業界以外の小売や外食大手が、店舗用不動産の取得に動き始めている。賃借料を払うより、自社で購入した方が中期的に有利になると判断しているためだ。

通常、土地代については一種100万や150万などの指標が使われる。例えば100坪の土地で容積率が500%なら、建築可能な床面積は最大500坪。その土地が8億円なら一種160万円だ。川崎付近で既に100万円前後、都心3区ともなれば150万円以上。更に建築費の上昇により、ワンルームの戸当たり建築費も1200万円を超える勢いである。


■機関投資家の属性多様化 安定した賃料収入に着目

不動産投資信託(J-REIT)による物件の取得で、投資対象の多様化が進んでいる。従来はオフィスなどが取得資産の大半を占めていたが、最近では商業施設やレジデンス系、物流系と投資先が拡大している。

また、取得元自体も様々だ。最近では、第一生命がマンション投資を開始するとの報道があった。従来、機関投資家はビルや施設など商業用不動産への投資が中心だったが、第一生命は都内のマンションを数棟取得する、とのこと。保険会社がマンション投資に着目する最大の理由は、賃料収入の安定である。

ワンフロア500坪のビルのテナントが退去した場合、その損失は大きい。全50戸のマンションを想定すると、月単位でみると入れ替わりは1~2部屋に相当する話だ。こうした理由からマンションが注目され、マンション全体の総収入も安定するわけである。

機関投資家が専有卸し物件を一棟まるごと取得するということは、投資マンション業界にとっては競合が増えることになるので、不動産価格を押し上げる要因となる。

景気回復の実感の一つの指標として株価・地価が挙げられるが、今後はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の積立金129兆円の運用見直しも検討され、株式市場の割合を増やす意向である。そうなると株価が上昇する可能性が高く、「資産効果」が増大し、不動産市場に流入する資金の額も増える。


■広がるバリエーション タワーやリノベ済みも

マンション投資市場でもワンルームのほか、コンパクト、超高層を中心としたファミリー、更に新築だけでなくリノベーション済みなどバリエーションが豊富になってきた。

例えばタワーマンションなどは、大規模の有利性に着目した相続対策層に人気がある。敷地面積に対して建物比率が高く、資産の圧縮がより可能になるからだ。

ただし主流は、一部屋から少ない資金で取得できるワンルームである。

ワンルームは郊外型ファミリーと違って、物件はピンポイントでも購入者は全国や海外など幅広く存在する。東京などの大都市圏の将来性が見込まれる中で、有望ではないだろうか。


■中古市場は供給減 価格上昇の要因に

中古マンション市場では、二つの要因で供給が減少している。一つは土地と同様、デフレから脱却してインフレに向かう中で、オーナーの売り惜しみ現象といった景気動向に起因する要因。もう一つは社会的構造変化要因である。

通常、中古ワンルームマンションの仕入れ業者は物件の謄本をあげて、その住所を基に売却を促すDMを送ったり、電話番号を調べて自宅に電話したりするケースが多い。だがNTT東日本によると、固定電話は2013年に1299万件と、ピーク時の2000年度末と比べて約60%減っている。特に東京の減少が著しい。固定電話が激減し、営業の電話がかけづらい状況になっているのだ。携帯電話番号を調べるシステムも普及し始めているが、オーナーとの接点が減ることは、供給源の大きな要因となっている。そして売却登録件数が減るということが、中古ワンルーム価格を押し上げる要因ともなっている。


■海外投資家から高評価 資産保全ニーズに合致

東京のマンション投資市場を中心に、海外投資家からの注目度も高い。理由の一つがアセットプロテクション(資産の保全)。治安や日本人の国民性、建築技術、アセットマネジメントなどの観点で、日本の投資物件は高い評価を得ているようだ。

東京のワンルームマンション業者の間では英語版のパンフレットを作成したり、マレーシアやシンガポール、台北などの現地業者と連携して富裕層に購入してもらったりするスキームも定着してきた。業界では英語・中国語なども必須になってきたようだ。

消費増税については、首都圏の数社にヒアリングしたところ影響はほとんど軽微で、むしろ「増税前よりも売り上げが上がった」という会社が多かった。ワンルームは郊外のファミリーやタワーマンションほど建物比率が高くないため、もともと影響が小さいわけである。

(住宅新報Webより引用)

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