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2015年09月17日
都心部で中古マンションの価格が上がっている。不動産市場では「売り時がきている」ともいわれ、実際に売却される物件も増えているようだ。エリアによっては新築時よりも価格が高くなる逆転現象が起きている。
都内に住む50代の会社役員の男性は東京都中央区や横浜市などに3件の投資用マンションを持っていた。中央区の物件を売ったところ、4年前の購入時より300万円高い4100万円の値がついた。間取りは1LDKで45平方メートル。家賃は20万円ほどだった。「手放すなら今かもしれないと思った」と話す。
品川区で2010年に供給された総戸数700戸以上の大規模マンションの中古市場での売買履歴を調べたところ、今年は12件の成約事例があり、新築時の価格を平均で10%超えている。
「今は都心部の人気エリアでかなり価格が上昇しており、売却案件が多くなった」と三井不動産リアルティ(東京・千代田)。投資用不動産の紹介サイトを運営するファーストロジックによると、8月末時点でサイト上に掲載された売却案件は約3万8千件。1年前より2割増えた。
不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)は「三大都市圏で11年以降に供給されたマンションは、新築時の価格を上回っている」と説明する。国内景気の改善で買い手が増え、外国人の投資需要も価格を押し上げている。物件の仕様や立地によって異なるが、都心部ほど売りやすい状況になっている。駅から近く、広い物件は特に人気だ。
横浜市や千葉市、大阪市、名古屋市も12年以降の新しい物件ならば、新築時よりも高い。都心部の人気エリアになると「価格が安かった03~05年に買った物件は絶好の売り時」と東京カンテイの井出武上席主任研究員は話す。ただ、価格が高騰したリーマン・ショック前の07年の物件だけは今も割安だ。
売ると決めたら、基本的には仲介業者へ委託することになる。最近では物件の見積もりを一括で複数の業者へ依頼できるサイトも登場している。物件情報を登録すると周辺の相場から売り出す際の適当な値段を教えてくれる。業者が決まれば、物件がインターネット上などに公開され、あとは買い手を待つ。
物件に入居者がいて、売却を公開したくない場合は、購入した時のマンション会社や仲介業者に直接相談するのがいいだろう。信託銀行系や大手デベロッパー系の仲介業者ならば投資用物件に興味を持つ顧客を抱えており、マッチングしてくれることもある。最近は円安で割安感が生じた日本の物件を探す台湾や香港の富裕層も顧客リストに名前を連ねており、買い手はつきやすい。
国内の不動産価格は20年の東京五輪まで上昇するといわれている。井出氏は「五輪直前になると(高値を狙った)売却物件が増えて、供給過剰になる」と指摘する。
(日本経済新聞Webより引用)