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2019年04月26日
国土交通省は26日、「ESG不動産の評価に関する調査」結果を発表した。
ESG投資が世界的潮流となる中、昨年3月にESG投資の普及促進に向けた勉強会の最終とりまとめにおいて、不動産鑑定評価への反映を含めたESG不動産投資の基盤整備の方向性が示された。これを踏まえ、ESG不動産に対する投資家および入居企業の意向や不動産価格等への影響に関するアンケート調査を実施した。企業年金基金、厚生年金基金、Jリート・私募リート・私募ファンド運用機関、金融機関、一般事業会社3,000社を対象に郵送アンケートを実施。有効回答数は411社。調査期間は2018年10月1~25日。
不動産について、ESGに配慮することにより、「不動産価値は高まる」、または「不動産価値は高まっていない(あまり差がない)が、今後は高まる」という回答が、不動産投資家・ビルオーナー側で約8割、テナント入居者側で7割を占めた。
不動産投資家・ビルオーナーに対してESG不動産への投資を行なう理由を聞いたところ、「入居者や入居企業がESGを重視して入居を選別しているから」という回答が3割を超え最も多かった。その次に多い回答は「主要投資家(エクイティ資金供給者)がESGに配慮した投資行動を重視し、またそのような投資行動を行っている企業へ投資を選別しているから」で2割程度を占めた。
ESG不動産の普及促進に必要な施策等は、「ESGに関する検証結果や好事例の開示」「ESG等の要素を「見える化」する新たな認証制度の創設」などがあがった。ESG不動産とそうではない不動産を比較して許容できる家賃上昇率は「4~6%」が最多だった。
ESG投資原則とは?
投資に当たって、環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)に配慮している企業を重視・選別する原則。
投資先の評価において、財務指標のみでなく、環境、社会、企業統治を評価することが、結局は企業の持続的成長や中長期的収益につながり、財務指標には現れにくいリスクを排除できるという考え方に基づいた行動原則である。
ESG投資原則による投資においては、たとえば、地球温暖化対策や生物多様性の保護活動(環境面)、人権への対応や地域貢献活動(社会面)、法令遵守、社外取締役の独立性、情報開示(企業統治面)などの実績や計画が重視される。
ESG投資の手法には、議決権行使等によって投資先企業にESGへの配慮を促す方法、ESGへの配慮に消極的な企業には投資しない方法、ESGに配慮した事業に対して優先的に投資する方法などがある。この場合の投資先には、都市開発や不動産開発が含まれる。また、投資だけでなく融資についても同様である。
なお、国連は、2006年に公表した「責任投資原則(PRI)」において、ESGへの配慮を反映した投資行動を促している。
(不動産流通研究所より引用)