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2014年01月11日

売るとき得するマンション…決め手は立地とメンテ

消費税増税や金利の先高観からマンションの取引が活発になっている。ローンを組んで購入する住宅は、暮らしの夢であるとともに不動産投資の1つという側面もある。住み替えや売却を考えたとき、購入した物件が値下がりしにくいのが理想だ。中古マンションが、値下がりしにくくなる条件を探った。


■焦り禁物、まずは住みたい街の調査

不動産調査会社、東京カンテイ(東京・品川)によると2013年11月の首都圏の中古マンション(70平方メートル相当)価格は、前年同月比0.3%高の2823万円。同じ時期の新築マンションの販売価格は、不動産経済研究所(東京・新宿)のまとめによると4967万円だった。住宅販売仲介の東急リバブル(東京・渋谷)が手掛けた4~9月の首都圏のマンション取引件数は前年同期比約3割増で、秋以降も買いたいと相談に来る人は堅調に増えているという。

価格が上向くと、焦りから物件を買い急いでしまうケースも多い。だが不動産情報サービス会社、アトラクターズ・ラボ(東京・千代田)の沖有人代表取締役は「周辺相場とかけ離れた価格で買わないようにすることが重要だ」と話す。

では、何を周辺相場と考えればいいのか。新築マンションの価格は、土地の仕入れ価格や建設費にマンション開発会社の利益を上乗せして決まる。購入希望者が多く全体の新築マンション価格が上昇する場面だと、新たに設定する価格は高めに設定される。高値設定の反動で、それが中古となったときには、大きく値下がりするものも少なくない。新築よりも、住みたいと考えている地域で取引されている中古マンションの価格のほうが、その地域の需要に見合った相場を反映しているといえそうだ。

中古マンションの価格は市場の需給に左右される。東京カンテイは新築マンションとその新築マンションの中古市場での流通価格を比較し、駅ごとに「マンションPBR」を算出している。中古マンション価格(10年平均)を新築マンション価格(同)で割った数値で、1を上回れば中古価格が新築価格より高くなったことになる。

2003~12年の10年間を比較した2013年のマンションPBRは、首都圏の平均が0.91。これは新築を買って中古で売ると、売却損が出ることを意味する。そのなかでも1を上回った(中古価格が新築より高い)のは、東京都内の表参道駅や品川駅など山手線の沿線か内側の駅近辺だった。

横浜市のみなとみらい駅もマンションPBRが1を上回った。交通の便がよく住宅地として人気が高いものの、横浜市はみなとみらい21地区で新規マンション建設の規制に乗り出している。今後の供給量が少ないとみられるため中古価格も高めで推移している。

さらに駅からの距離は近いほうが値下がりしにくい。東京カンテイによると2002年6月~03年5月に新規分譲され、12年6月~13年5月に中古流通した首都圏(1都3県)の分譲マンションで、新規分譲時と中古流通時の価格(坪単価)を比べると、平均下落率1割程度だが、最寄り駅から対象マンションまでの距離が近いほど、下落幅は小さくなる。徒歩15分以内では10%以上値下がりするが、徒歩3分以内なら4.2%の下落にとどまる。

このデータから見ると、中古で売りやすく値下がりしにくいマンションとは、「都心部の駅に近いマンション」。新築・中古問わず「より多くの人が買いたいと思う物件」(東急リバブル)となる。


■変わる生活スタイル

「一般的な会社員が買える価格水準の新築マンションの供給が減っている」(東京カンテイ市場調査部の高橋雅之氏)との指摘もある。大型マンションの建設には、企業の遊休地や工場跡地など十分な広さの土地が必要だが、東京都内では確保が難しい。

住宅そのものに対する考え方の変化も影響している。地価が毎年上昇し会社員の収入では都心部の住宅が購入しにくかった時代は、最初は会社に近い賃貸住宅に住み、数年たったらマンションを購入。最後は郊外に戸建て住宅を買うパターンが一般的とされた。

だが人口は減少している。郊外に住み続けることが難しくなった高齢者が戸建て住宅を売って、周辺に歩いていける商業施設や医療施設のある都心部のマンションに引っ越している。さらに、「家族構成の変化に合わせて少しずつ部屋の大きさを変えながら同じマンション内で買い替えを繰り返す世帯も出てきた」(東京カンテイの高橋氏)。


■見落としがちな改修・修繕コスト

新築マンションの販売時に強調される、豪華な入り口や共用施設。これらは「中古時点の価格には、ほとんど影響しない」という意見がほとんどだ。住民が入れ替われば必要とされる共用施設も当然変化するし、維持に費用がかさむケースも多く、閉鎖や撤去という事態も起こりうる。結局「細部のこだわりは不動産価格に反映されない」(アトラクターズ・ラボの沖代表)ことになる。

中古マンションでしっかり確かめておくべきなのは、「共有部分の改修に必要な積立金が十分にあるのか」と「長期修繕計画はまとまっているのか」ということ。個人では確認しにくいが「仲介会社を通じて問い合わせれば、回答が得られる」(東急リバブル事業推進部営業推進課の生賀拓人氏)ことが多い。広さや築年数、周辺相場に比べて、価格が割安である物件をよくよく調べてみたら、実は先々のメンテナンスが行き届いていないケースもみられる。

前向きに購入を検討するマンションが決まったら、もちろん「周辺環境の確認は必須」(アトラクターズ・ラボの沖代表)だ。設備などはリフォームやリノベーションが可能だが、周辺環境や実際にどんな人が住んでいるのかは変えようがない。これは価格にははっきり表れない側面もあるだけに、しっかり何度も現地へ足を運んだ方がよさそうだ。

(日本経済新聞Webより引用)

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